ベルウィック内乱[血の八年動乱]概説(2)

 セヴァール川の敗戦で二人の盟主を失った東部同盟は求心力を失い瓦解、 北方諸王国はモルディアスの軍門に下り、 王国内ではアーレス派に対する粛清の嵐が吹き荒れた。

 レイアの王城には第一王女アルテミア(先代ヴェリア王の嫡子アーレスの妻)とその子供たち( ベルナードの妹アナスタシア(13)、弟フレディ(10))が保護されていた。
 モルディアスは彼女たちを引き渡すならレイア王国の罪は不問にすると懐柔したが、第二王女にしてパラスレイアの使い手である魔法騎士のフェリアーヌは、ベルナードの釈放とアルテミア親子の安全が保障されない限り降伏はないと夫のベングリオン(ヴェリア神殿騎士団の名高いシャインナイト)・兄のアレクトー(レイアの新王)とともにレイア城に立てこもった。モルディアスの王国軍は数度に渡って城攻めを行うもその都度敗退。以後一年間にわたってフェリアーヌたちは配下の騎士・魔道士らと共にアーレスの妻子を守り続けるのである。

 話は少しそれるが、先を続けるためには王国と教団の関係を述べておかねばならない。 ヴェリア教団(*7)はこの内乱において中立の立場を堅持した。
 これは当時の巫女、シルファ・ブロンテの神性が婚姻によって衰え、 先王の死因がモルディアスが言うようにアーレス王子の手によるものか、 それともレイア王が言うように、それ自体がモルディアスらの陰謀なのか、 事の真相について神託が下されていないことにあった。
 しかし604年(7月)に一人娘のサナーキアが生まれると、シルファの神性は一時的に回復され、その神託によって、先王の殺害がラーズ教団の手によってなされたことが判明する。教団はその事実を双方に伝え、直ちに休戦するよう 巫女シルファの御教書を発布した。(604-8)

 内乱を利用してレイアを初めとする同盟諸国の力を削ぎ、政敵となりうるアーレスの勢力を排除しようと考えていたモルディアスはこの御教書に対して「教団が自分を新王として認め、巫女によって載冠がなされるならアーレス派と停戦して彼らの罪は問わない」と誓約した。だが第33代ヴェリア国王として即位すると、彼は再びアーレス派と目される諸侯らの粛清に取り掛かった。 これに激怒した巫女シルファはモルディアスに対して「弾圧を止めてベルナード以下の捕虜を解放せよ。誓いを破るなら破門も辞さない」と警告を発した。

 ヴェリアの王位はエルタナ法典によって、ヴェリアの子(つまりヴェリア教徒)であることが絶対条件とされる。巫女によって破門されることは、すなわち王位をもはく奪されることである。モルディアスは自ら神殿に出向いて慈悲を請い、巫女の命に従うことを誓約した。
 だが、その7日後、何者かが巫女の神殿に侵入し、産後で力が衰えていた 巫女シルファと傍付きのシスター数十名を殺害するという事件が起きる。 (604-9:26世巫女シルファ・ヴェリ・ブロンテ、享年27歳。)

 シルファの娘サナーキアは 巫女の神殿に仕える見習い騎士(神官騎士=トルヴァドール)であったパラミティース(16)によってかろうじて救い出され、シルファの夫である光輝騎士団長デニムッド(アラムグルズの一族)の下に届けられた。
 デニムッドはシャインナイトを従えて神殿に駆けつけるも、すでに現場は国王直属の兵士らによって閉鎖され、その翌日、モルディアス国王は同盟全土に向けて巫女の非業の死を伝えた。

「現場に残されたラーズ紋章の剣から、この凶行はラーズ帝国の手によって なされたことは明らかである。我らが光の女神と敬う巫女を害するものは 暗黒神を奉ずるラーズ以外になく、我らはこの悪行を看過し得ないであろう。
私はここに宣言する。ベルウィック神殿の扉は開かれた! 同盟諸侯は盟約に従い直ちに聖戦への準備をせよ! 半年以内に軍備を整えペシル王国サキリア砦に集結せよ!と。

 ヴェリア教団も王のこの決断を支持して配下の神殿騎士団に聖戦に従うよう命じた。 巫女シルフアはすでになく、その娘はまだ一歳にも満たない。ゆえにヴェリアの神託が下されるはずもなく、諸侯も聖職者も民衆も、全てのヴェリアの民がラーズ帝国の仕業だと信じ込んだ。
 しかしただ一人、巫女の傍近くに仕えていたパラミティースだけは真実を知っていた。彼女は犯行の直前にシルファから「王が私を殺しに来る。もはや阻止しえない。サナーキアを連れて脱出せよ」と命じられたのである。

 彼女はその事実をシルファの夫に告げた。デニムッドは教団にモルディアスの罪をただすよう求めたが、司教らは「年少の見習い騎士一人の言葉を信じて国王を糾弾するとはなんたる不遜」としてデニムッドを光輝騎士団隊長の任から解き身柄を拘束した。彼は後に脱出して反モルディアスの戦いに身を投じる。

[余談]
神殿地下牢からデニムッドを救ったのは彼の部下だったシャインナイトたち。その中には見習い騎士のパラミテイースもいました。ルボウは当時はまだ司祭でしたが脱出の手引きをしています。

後に詳しく述べますが、パラミティースはデニムッドが斃れるまでの約3年、彼の身辺近くにあって身の回りの世話などをしていました。彼女がシャインナイトとしての技能を身に着けたのもこの時です。幼いサフィアはルボウに預けられナルヴィア神殿で養育されました。

巫女がモルディアスを王にしたのは理屈的には正しい。正当な王位継承者のアーレスが次期国王にモルディアスを指名して自害したから(神託で証明された)。巫女の暗殺で正当性を失ったがモルディアスは認めていない(だから口封じのためにシャインナイトを粛清した)

巫女の神殿(この当時は王都の近くにあった)の警備は本来厳重だったが、ハイランドの神殿が先住民に襲われたというニセ情報でデニムッド以下の光輝騎士団(巫女の親衛隊)が出払っていたためその隙を突かれた。これもモルディアスの策略と思われる。彼の政治力はある意味天才的。

ヴェリアの内乱にラーズ帝国が介入しなかったのはクレイマン皇帝の意志による。彼とヴェリアの先王は共に優れた君主で、直接的な交流は無かったにせよ、二人が在位している間は一度も大きな戦争は起きていない。(ヴェリアの巫女シルファも平和を願っていた)
しかし狂信的なラーズの教皇ウルバヌヌスは皇帝の意志に反して密かに刺客を放ち、先王ハーメルを殺害した。
これにより、両国が再び戦争状態に入ることを望んだのである。だが東方国境に不安を持つクレイマンは内乱に関して一切の関与を許さず、605年にヴェリアから侵攻があるまで不介入を貫いた。
 
モルディアスがラーズに宣戦布告したのは、外敵を得ることで国内世論を統一し自らの立場を強固にするためであった。(故に内乱が収束するとクレイマンに和議を申し入れた)
この結果、孤立したレイア王国はラーズ軍によって蹂躙され(アナスタシアらは逃亡途中に捕らえられる)、ヴェリア国内ではシャインナイツが反逆者として粛清され、最後まで抵抗を続けたフェリアーヌもロズオークに諭され北方へ落ち延びるのである。


ゼフロスとラレンティア(広田氏)

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